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UPDATE 07/07/13

言葉を遺して


  はじめまして。今回コラムを書く事になりました、板本です。
 昨年5月に、70歳で亡くなった、母の事を書きたいと思います。
場違いかとは思いますが、なるべく湿っぽくならないようにしますので、お付き合いくださいませ。

 母は、亡くなる5、6年前から認知症を患っていました。当時認知症という言葉はなく、今思えば若年認知症だったのではないかと思います。
 最初は軽い物忘れから始まり、時間の感覚のズレ、薬の飲み方が解らない(いつ何錠飲むか)、思い違いと思い込み、妄想に囚われる、一つの行動を繰り返し行う。
 母の話すことは、私達には理解できず、私達の話すことも、母には理解出来なくなりました。そして「会話」がなくなりました。

 カレンダーが読めない、時計が読めない、計算が出来ない、名前が書けない、字が読めない、自分で食事が出来ない、トイレの失敗。日常生活で出来ることが、少しずつなくなっていきました。
 私はイライラしてつい怒ってしまい、自己嫌悪に陥ったり、かわいそうだと同情したり、どうして自分の親が?と言う憤り、情けなさで、ストレスが溜まりました。

 転機は母の骨折でした。認知症の母は、リハビリする事が出来ず、そのまま車椅子生活になってしまいました。認知症でなければ、意思の疎通があれば、リハビリをして歩けるようになったかもしれません。
 認知症は、最終的にコミュニケーションを奪う病気なのです。

 車椅子の母を、家族で介護するのはもう限界でした。そこで、宿泊施設に数ヶ月単位で、預かってもらえる、ショートステイを利用しました。

 しかし、その半年後。肺炎で亡くなりました。

 亡くなった母の側で泣いていると、ふと思い出したことがありました。

 まだ自宅で介護していた時の事です。介護の苦労や父の事、至らない自分の事で悲しくて、母の前で大泣きしたことがありました。その時、母が、「どうしたの?泣くな。泣くな。」と言ったのです。状況を理解することなんて、もう出来なかった母が!
 あの時、母は病気に打ち勝って、私をなぐさめてくれたのです。

 それを思い出した時、「今、この時でも、おかあさんは私に『泣くな。泣くな。』と言ってくれている・・・。」と、思いました。

 今でも「泣くな。泣くな。」と言う母の声を思い出します。母の言葉とは裏腹に、その度に泣いてしまう私ですが、母の愛情を思うと、しっかりしなきゃ!と言う気持ちになります。

 ・・・やっぱり、ちょっと湿っぽかったですか?最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

名古屋本社 板本







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