KYNE(キネ)の作品相場と買取情報|クールな女性像が魅せる人気作家の価値を解説

はじめに

クールな表情の女性を描くアーティスト・KYNE(キネ)。近年、国内外のアートシーンで急速に注目を集め、オークション市場でも驚異的な価格上昇を見せています。

シンプルで洗練された線と独特の女性像は、多くの人々を魅了し、アートコレクターからの評価も年々高まっています。こうした人気の高まりを受けて、KYNE(キネ)の作品は市場での価値も大きく上昇。アート市場の活況と共に一時は驚異的な価格高騰を見せましたが、近年は落ち着きを取り戻しつつ、安定した高価格帯で取引されています。

本記事では、KYNE(キネ)の経歴や作品の特徴、市場価値の推移から人気作品の情報まで、幅広くご紹介します。作品をお持ちの方や売却をご検討の方は、ぜひ最後までお読みください。

Untitled(SAI KYNE TOKYO ED)
Untitled(SAI KYNE TOKYO ED)

KYNE(キネ)とは?

福岡発の現代アーティスト

KYNE(キネ)は1988年に福岡県で生まれ、現在も福岡を拠点に活動する現代アーティストです。顔も本名も公開していないミステリアスな存在で、その匿名性は作品鑑賞に集中してもらうための配慮でもあります。このような謎めいた存在感も、KYNE(キネ)の作品の魅力をさらに高めているのではないでしょうか。

高校時代はデザイン科で幅広く美術を学び、大学では日本画を専攻しました。この選択が、後の作品スタイル確立に大きな影響を与えることになります。大学卒業後はアクリル絵の具を使用し、日本画で学んだ線描表現をストリートアートに落とし込むという独自の挑戦を始めました。こうした多様な美術体験が、現在の唯一無二の作風を生み出す土壌となったのです。

アーティストとしての成長と評価の変遷

KYNE(キネ)の本格的なアーティスト活動は、2006年頃に始まります。描いた人物ポートレートをステッカーに転写して福岡の街中に貼るというスタイルで、徐々にその存在が広まっていきました。街角で思いがけずKYNE(キネ)の作品に出会った人々は、その独特の女性像に惹きつけられたことでしょう。

現在のような「クールな表情の女性」を描く作風が確立したのは2010年頃です。そして大きな転機となったのが2018年のSBIアートオークション。作品名「Untitled」(アクリル・F50号・2017年作)は2種のピンク背景に短髪の正面を向いた女性のデコルテまでを描いた作品で、予想落札価格40~60万円に対して500万円超えで落札されたことで、ファインアートの世界でも一躍注目されるアーティストとなりました。この出来事は、ストリートから始まったKYNE(キネ)の表現が、もはや従来のアートの枠組みを超えて多くの人の心を捉えていることを示していました。

そして2021年には東京のKaikai Kiki Galleryで個展「KYNE KAIKAI KIKI」を開催。村上隆とのコラボレーション作品も発表され、その活動領域はさらに広がりを見せています。かつてストリートでステッカーを貼っていた福岡のアーティストは、今や東京や上海、台湾など国内外で精力的に展示活動を行う存在へと成長。現代アートシーンにおいて最も注目される作家の一人となっているのです。

では、そんなKYNE(キネ)の作品には、どのような魅力があるのでしょうか?

Untitled:A
Untitled:A

KYNE(キネ)の作品の魅力や特徴

独自の女性像表現

KYNE(キネ)の作品で最も特徴的なのは、クールで凛とした表情の女性像です。余計な表現を極力削ぎ落としたシンプルでミニマルな表現は、見る人の心を強く惹きつけます。あなたも一度目にすれば、その独特の魅力にすぐに気づくことでしょう。

特筆すべきは、これらの女性像には特定の感情表現がないという点です。「見る人がその時々でいろんな感情を汲み取れるようにしたい」と、KYNE(キネ)はインタビューで語っています。鑑賞者それぞれが自分なりの解釈や感情を投影できる余白を残しているこの「開かれた解釈性」が、幅広い層から支持される理由の一つです。ある日は凛とした強さを感じ、別の日には物憂げな儚さを感じる—同じ作品でもこうした多様な感情を呼び起こすのです。

KYNE(キネ)の描く女性は基本的に実在しない人物で、ネットの素材や実際の人物の髪型やポーズを参考にすることはあっても、顔を似せることはないと本人が語っています。このアプローチも独特の世界観を作り出す要素となっていますが、では具体的にどのような技法で表現されているのでしょうか。

Untitled (キャンバス)
Untitled (キャンバス)

技法的特徴と表現手法

KYNE(キネ)の作品は、日本画とストリートアートが独自に融合した技法的特徴を持っています。日本画の特徴である陰影のない平面的な表現や象徴的な描写方法が、作品の基盤になっていると考えられます。一見相反するような二つの世界が、KYNE(キネ)の手によって見事に融合している点が興味深いですね。

制作プロセスは、シャープペンシルで下絵を描き、スキャンしてデジタル処理により徐々に線を減らしながら仕上げるというアナログとデジタルを組み合わせた手法です。この独自の制作方法によって、伝統的な線描の美しさと現代的なデジタル感覚が共存する独特の質感が生まれています。

また、KYNE(キネ)の作品の魅力を語る上で見逃せないのが、1980年代の大衆文化からの影響です。80年代のアイドルやポップカルチャーからインスピレーションを得ており、この時代の空気感が作品にノスタルジックな雰囲気を与えているのです。懐かしさと新しさが同居する不思議な魅力は、幅広い世代の鑑賞者を惹きつける理由の一つかもしれません。

UNTITLED2017
UNTITLED2017

版画作品とオリジナル作品の違い

KYNE(キネ)の作品を売却検討する際に重要なのが、版画作品とオリジナル作品の違いです。KYNE(キネ)の作品は大きく分けると、アクリル絵の具で描かれたオリジナル原画と、シルクスクリーンによる版画作品の2種類があります。

市場に流通している多くはシルクスクリーン作品で、通常50枚や100枚の限定エディション(Ed.)として管理されています。それぞれに番号とサインが入れられており、コレクターにとって重要な要素となっています。

これらのシルクスクリーン作品は、原画に比べると比較的入手しやすく、価格も相対的に抑えられていることから、多くのファンに支持されています。

一方、オリジナル原画は、キャンバスやパネルにアクリル絵の具で直接描かれた一点ものの作品です。当然ながら希少性は極めて高く、オークションなどでも高額で取引されています。同じモチーフの作品であっても、原画とシルクスクリーンでは市場価値に大きな差があることを知っておくと良いでしょう。

また、特別な価値を持つのが村上隆や山口歴などの他のアーティストとのコラボレーション作品です。これらは通常の作品とは一線を画す市場価値を持つため、買取や売却を検討する際は特に注意が必要です。では、実際にKYNE(キネ)の作品はどのような市場評価を受けているのでしょうか?

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KYNE(キネ)作品の買取相場・実績

※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、相場等により変動いたします。

CONSIDER OTHERS 2020

買取実績価格:120万円

UNTITLED :(立体)

UNTITLED (立体)
買取実績価格:80万円

Untitled:(×Yoichiro Uchida)

作品
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KYNE(キネ)の作品を高値で売却するポイント

版画

共通事項(状態を良好に保つ為の保管方法)

版画には有名画家が直接携わり監修した作品も多くあります。主に版画作品下部に作家直筆サインとエディション(何部発行した何番目の作品であるか)が記載されています。

主に紙に刷られており、湿気や乾燥に弱いです。また直射日光が長期間当たると色飛びの原因になります。掛ける場所・保管場所には十分注意しましょう。

シルクスクリーン

枠にメッシュ素材(シルクやナイロン)の布を張り、油性描画剤で直接絵を描いたり、マスキングをし絵の具の通る部分通らない部分を作った版を紙に乗せ写しとる技法です。絵画以外にも写真や被服等にも応用されています。

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KYNE(キネ)についての補足情報

オークション市場での評価推移

KYNE(キネ)の作品は、ここ数年でアート市場において驚異的な価格上昇を見せています。特に注目すべきは、SBIアートオークションでの評価推移でしょう。

2018年11月、KYNE(キネ)の名が一気に広まることになったオークションでは、予想落札価格40~60万円に対して、約500万円という驚きの金額で落札されました。これを皮切りに、KYNE(キネ)の作品価格は右肩上がりで上昇を続けています。もしあなたがこの頃にKYNE(キネ)の作品を入手していたら、素晴らしい投資になっていたことでしょう。

2021年には同オークションで、予想落札価格1,400万円の作品が約2,700万円で落札されるなど、予想価格を大きく上回る取引が続いています。2022年7月のSBIアートオークションのレポートによれば、KYNE(キネ)の作品は「年100万円単位で価格上昇」と評されるほどの急成長を見せています。

特に人気の高い「Untitled(2018/coffee)」(2018年に雑誌『Casa BRUTUS』の表紙に起用された作品)のシルクスクリーンは、2022年のオークションで落札予想価格150~250万円のところ、460万円で落札されました。初出品された2019年には予想価格平均10~20万円だったものが、わずか3年で20倍以上の価値になったのです。

最近の2024年9月のオークションでも、KYNE(キネ)の作品「Untitled」(アクリル・キャンバス)が予想価格350~550万円のところ、1,069万5,000円で落札されています。アート市場全体の動向を受け、一時期の熱狂的な価格上昇は落ち着きを見せましたが、ピーク時から価格が安定した現在も高額での取引は続いており、依然として高い人気と評価を維持しているといえるでしょう。

UNTITLED(COFFEE)

人気作品とコラボ作品の市場価値

KYNE(キネ)の作品の中でも、特に高い市場価値を持つものをご紹介しましょう。まず注目したいのが「Untitled(2018/coffee)」です。雑誌『Casa BRUTUS』の表紙を飾った作品で、コーヒーカップを持つ女性の姿が印象的なこの作品は、KYNE(キネ)の代表作として広く認知されています。シルクスクリーン作品でありながら数百万円で取引されており、KYNE(キネ)所有者の中でも特に人気の高い一品です。

また、2019年3月に東京国際フォーラムのアートフェア東京で販売された「Untitled(2019)」も見逃せません。限定50枚という少ないエディション数と、縦90cm×横69.2cmという大きなサイズが特徴で、発売と同時に即完売となりました。現在では当時の何倍もの価格で取引されていると言われています。

特別な価値を持つのが村上隆とのコラボレーション作品です。2021年の「KYNE KAIKAI KIKI」展で発表された「Untitled N」シリーズは、二人の女性像が描かれた新しい構図で話題になりました。

山口歴とのコラボレーション作品「STAY GOLD LIMITED」も、オークションで約120万円で落札されています。予想落札価格が5万円~15万円だったことを考えると、コラボレーション作品に対する市場の評価の高さが伺えます。

山口 歴(合作)「"STAY GOLD" LIMITED 100」
山口 歴(合作)「”STAY GOLD” LIMITED 100」

KYNE(キネ)作品をお持ちの方は、このような市場動向を参考にしながら、適切な買取業者に査定を依頼することをおすすめします。一般的なシルクスクリーン作品でも数十万から数百万円の価値がある場合が多く、特にレア作品や状態の良い作品であれば、想像以上の高値が付く可能性があります。

個展や美術館展示情報

近年のKYNE(キネ)の展示活動は国内外で活発に行われています。2022年から2023年にかけて、福岡「cassette」での個展、上海Powerlong Museumでの展示、東京「EAST TOKYO 2023」出展など、その活動範囲は広がりを見せています。

美術館からの評価も高まっており、2020年から2022年12月までは福岡市美術館に高さ3m、横13mの巨大壁画作品「公共性と自由」を展示。このような公共施設での展示は作品価値向上にも寄与しています。

2021年4月には東京Kaikai Kiki Galleryで個展「KYNE KAIKAI KIKI」を開催し、村上隆との関係を深めるきっかけとなりました。

コラボ作品情報

SOPH. × KYNE

出典:soph.net

KYNE(キネ)は様々な分野でコラボレーションを展開しています。2021年6月にはアディダス「STAN SMITH」とのコラボスニーカーが発売され、大きな話題となりました。

ファッション分野では、SOPH.(ソフ)のTシャツやパーカーMOUSSY(マウジー)のアパレル製品など複数のブランドとコラボ。いずれも高い人気を博し、現在では入手困難なアイテムとなっています。

音楽分野では、シンガー「iri(イリ)」のCDジャケットデザインを担当。こうした多角的な活動も、KYNE(キネ)作品の価値を高める要素となっています。

作品購入と売却について

KYNE(キネ)の作品を実際に見ることができる主な場所は、2017年に福岡でオープンしたスタジオ兼ショップ「ON AIR」です。2019年には東京支店も開設され、両店ではKYNE(キネ)作品の展示販売が行われています。

また、原宿の「GALLERY TARGET」もKYNE(キネ)作品の正規取扱店です。2017年にKYNE(キネ)の個展を開催して以来、作品販売やマネジメントを行っています。

KYNE(キネ)の市場価値は今後も上昇していくことが予想されます。作品をお持ちの方は、適切なタイミングでの査定をご検討ください。

まとめ

福岡を拠点に活動するKYNE(キネ)は、日本画とストリートアートを融合させた独自の女性像で現代アートシーンに注目を集めています。オークション市場では2018年の500万円から2024年には1,000万円を超える作品も登場し、特に「Untitled(2018/coffee)」や村上隆とのコラボ作品は高い評価を受けています。

KYNE(キネ)作品をお持ちの方は、まずは専門家による査定をお勧めします。

当社では、あなたの大切な作品の価値を最大限に引き出すべく、丁寧な査定と適切なアドバイスを提供いたします。KYNE(キネ)の作品の買取をご検討される際は、ぜひお問い合わせください。

また、LINEからの査定依頼も受け付けています。(スマホで写真を撮って送るだけ!)詳しくは【LINE査定ページ】をご覧ください。

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