【青森県の絵画買取】|棟方志功をはじめ、県ゆかりの有名画家紹介と作品価値を解説

  • 奈良美智
  • 棟方志功
  • 洋画
  • 版画
  • 現代アート
  • 絵画買取
  • 美術品買取
  • 青森県
  • 鷹山宇一

豊かな自然と独自の文化を誇る青森県は、実は日本美術史に名を刻む画家を数多く輩出してきた土地柄です。厳しい寒さに閉ざされる長い冬の間、人々は室内で創作に励み、津軽塗やこぎん刺しなど高い美意識を感じさせる手仕事文化が育まれてきました。その風土は絵画の世界にも独特の感性をもたらし、青森から世界に羽ばたいた芸術家たちの原点となっています。

この記事では、青森県ゆかりの3人の画家にスポットライトを当てます。戦後日本を代表する板画家(版画家)として世界的評価を得た鬼才・棟方志功。現代アートシーンを席巻し、世界中の美術館に作品が収蔵されている奈良美智。そして、幻想的な花と蝶の作品で独自の洋画世界を築いた鷹山宇一です。彼らはそれぞれ、青森の風土や文化と深い関わりを持ちながら、唯一無二の作品を生み出してきました。

「もしかしたら、あなたのご自宅にも…?」そんな期待を胸に、彼らの経歴や作品の魅力、そして現在の市場での評価まで、解いていきましょう。青森ゆかりの絵画にはどんな価値が秘められているのか、ぜひ一緒に探ってみてください。

棟方志功:青森が生んだ世界的板画の鬼才

どんな人?経歴とプロフィール

棟方志功(むなかた しこう、1903-1975)は、青森市出身の世界的な板画家(版画家)です。幼い頃から絵に親しみ、独学で油絵を描き始めました。21歳のとき、「わだばゴッホになる(俺はゴッホになるんだ)」と津軽弁で叫び故郷を飛び出すように上京したエピソードは有名です。しかし東京で待ち受けていたのは困難の連続。極度の近視により油彩画では遠近感の表現に苦労し、「絵の道を諦めるべきか…」と悩んだ末、たどり着いたのが版画(板画)の世界でした。

棟方は板木に顔を近づけ、木の声を聞くように彫る独自の制作姿勢で頭角を現します。民藝運動の指導者・柳宗悦らに才能を見出され、民藝的な温かみと大胆な造形感覚を併せ持つ作品を次々と発表。やがてその評判は海外にも伝わり、1955年のサンパウロ・ビエンナーレ版画部門で最高賞を受賞、1956年にはヴェネツィア・ビエンナーレで日本人初の国際版画大賞を受賞するなど、世界的な評価を確立しました。郷里・青森が生んだ彼の独創性は、今なお国内外で高く称えられています。

青森県との素敵な関係

棟方志功と青森県の結びつきは、生い立ちと創作の原点に見ることができます。青森市の鍛冶屋の家に15人兄弟の三男として生まれた棟方は、幼少期から自然と親しみ、雪深い冬の閑暇に絵筆を執りました。地元の風土は彼の感性に大きな影響を与えています。例えば、若き日の棟方が放った「わだばゴッホになる」という言葉には、閉鎖的な雪国から世界へ飛び出そうとする強い意志と情熱が込められていました。これはまさに津軽人気質そのものと言えるでしょう。

かつて青森市には棟方作品を専門に紹介する「棟方志功記念館」がありましたが、2024年3月に惜しまれつつ閉館しました。閉館に伴い、その収蔵品は青森県立美術館へと移管・統合されました。現在は同館などで、作品群に出会うことができます。

ここがスゴイ!作品の世界観と特徴

棟方志功の作品世界は、一見して力強く独創的です。彼は自らの版画を「板画」と称し、木の板目を生かした大胆な線と面で独自の平面的構図を作り上げました。題材の多くは仏教や民俗に取材しており、仏や菩薩、神話の人物、あるいは女性像をモチーフに、魂のこもった表情を彫り出しています。棟方は「板の声を聞く」と言いましたが、まさに木と対話しながら、生き生きとした造形を生み出しているのです。

また特筆すべきは、裏彩色という技法です。和紙の裏から彩色する中国古来の手法を応用し、表と裏の両面から色を染み込ませることで、独特の柔らかい発色を実現しました。この技により、棟方の板画は単なるモノクロ版画の域を超え、豊かな色彩表現を獲得しています。例えば黒一色の線彫りに見えても、裏から施した朱や藍がほんのりと滲み出て、画面に深みを与えているのです。

さらに棟方作品の世界観を語る上で欠かせないのが、「妃(きさき)」を題材とした女性像の作品群です。昭和30年代以降、棟方は「女性こそ神々しい存在」と捉え、画面いっぱいに女性の顔を描いた大胆な版画を数多く制作しました。これらは「棟方の大首絵(おおくびえ)」とも呼ばれ、凛とした二重まぶたの美人像が見る者を圧倒します。背景を省略し、太い輪郭線と奔放な色面で表現された女性たちは、まさに棟方独自の美の宇宙といえるでしょう。

代表作と出会える場所

《二菩薩釈迦十大弟子》(1939年)

文殊菩薩の柵
文殊菩薩の柵

お釈迦様の両脇に控える文殊菩薩・普賢菩薩と十大弟子をテーマにした連作板画です。その一部である《文殊菩薩の柵》を含むこの連作は、後にサンパウロ・ビエンナーレに出品され、版画部門最高賞を受賞するなど、棟方芸術の金字塔として高い評価を受けています。

(所蔵:青森県立美術館など)

《湧然する女者達々》(1953年)

ヴェネツィア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞した名作です。多数の女性がうねるように画面を埋め尽くす構図には、「女性はすべて母であり観音である」という棟方の信念が投影されています。

(所蔵:東京国立近代美術館

気になる価値は?市場での評価と買取のポイント

棟方志功の作品は、今なお美術市場で非常に高い人気と価値を保っています。とりわけ版画作品であっても、一点一点が棟方の手による摺りと彩色を伴うため

それぞれがオリジナル(1点物)として、高額取引の対象です。例えば前述の《文殊菩薩の柵》のような代表的板画は、買取市場で400〜500万円前後の査定額が付くこともあります。他の「妃図(女性像)」をモチーフとした作品でも、保存状態や摺りの良さ次第では数百万円規模の値段が付くことが珍しくありません。

市場で評価が高いポイントは、題材の希少性と人気です。仏教主題の連作や「妃図(女性像)」をモチーフとした作品、さらには棟方が自画自賛したような作品(いわゆる代表作)はコレクター垂涎の的となっています。また、棟方は生涯にわたり何度も同じ構図を摺っていますが、裏彩色の鮮やかなものや、摺りの出来が良いものほど評価が高い傾向があります。金を用いた作品かどうか、紙の品質なども評価に影響し、一見同じ図柄でも数十万円から百万円単位で差が出る場合があります。

買取のポイントとしては、まず真贋の見極めが重要です。棟方志功は人気作家ゆえに贋作も存在しますが、専門家であれば紙質や版木の摩耗具合、落款(サイン)や印章の特徴から真作かどうかを判断できます。専門知識を持つ鑑定士に査定を依頼し、本物であれば適正な市場価格を提示してもらいましょう。

※真贋の鑑定は、所定鑑定機関(棟方志功鑑定登録委員会)の発行する鑑定証書が発行されるか否かで判断されます。

いずれにせよ、棟方志功の作品は国内外でコレクター需要が高く、状態の良い代表作であれば美術品オークションで数百万円以上の落札実績もあります。青森ゆかりの巨匠の作品が、実はご家庭の床の間や蔵に眠っているかもしれません。この機会に専門家の査定でその真価を確かめてみるのも一興でしょう。

▼写真を撮って送るだけ!最短60秒で完了▼

LINEであなたの絵画の価値を無料で調べてみる

鷹山宇一:幻想の花と蝶に魅せられた洋画家

高原の雲と花
高原の雲と花

どんな人?経歴とプロフィール

鷹山宇一(たかやま ういち、1908-1999)は、青森県七戸町出身の洋画家・版画家です。明治41年(1908年)に生まれ、大正・昭和期を通じて活躍しました。幼い頃から文学や美術に親しみ、旧制青森中学在学中の1922年には、同郷の棟方志功と運命的な出会いを果たします。二人は意気投合し、その後、青森の若手芸術仲間とともに「青光画社」という美術グループを結成しました。地方にいながらも前衛的な制作活動に打ち込む日々――これが鷹山の画家人生のスタートでした。

20代半ばで上京した鷹山は、川端画学校や日本美術学校で本格的に絵画を学びます。当初は木版画家として頭角を現し、1930年に二科展に初入選。その後も前衛的な若手画家たちと「絶対象派協会」や「九室会」の結成に参加し、戦前日本の美術界で異彩を放ちました。戦後は表現手法を一転させ、洋画(油彩画)に注力。以降は油絵具で幻想的な世界を描き出す画風へと進化していきます。

1960年代までに、鷹山宇一は独自の芸術スタイルを確立しました。特に彼を語る上で欠かせないのが、作品にたびたび登場する「蝶」のモチーフです。40代後半から蝶と花をテーマにした作品を数多く手がけ、やがてそれは鷹山芸術の代名詞となりました。晩年まで精力的に制作を続け、地元七戸町には1994年に七戸町立鷹山宇一記念美術館が開館。90歳を迎えた1998年には東京国際美術館で大規模な回顧展が開催され、その偉業が改めて称えられました。

青森県との素敵な関係

鷹山宇一の人生と創作は、常に故郷・青森とのつながりの中にありました。七戸町で生まれ育った彼は、少年期から地元の文化人との交流に恵まれます。特に文学青年だった鷹山にとって、同郷の歌人・青山哀囚から受けた薫陶や、棟方志功ら美術仲間との切磋琢磨は大きな原動力となりました。「青光画社」の活動を通じ、当時まだ東京から遠く離れた地であった青森で、最新の美術思想に触れ創作に励んだ経験は、鷹山の基盤となったのです。

戦後に油彩画へ転向して以降も、鷹山は折に触れて青森の自然や思い出を作品に投影しました。例えば、彼の作品によく登場する花や蝶といったモチーフには、故郷の野山で触れた小さな生命への愛情が感じられます。春を待つ長い冬、芽吹きの季節の喜び――そうした青森の四季の記憶が、幻想的な花と蝶の絵の根底に流れているのかもしれません。

地元との縁は創作面だけでなく晩年の活動にも表れています。前述のとおり、七戸町には鷹山宇一記念美術館が建てられ、鷹山も存命中から地元の文化振興に尽力しました。美術館には鷹山自身から寄贈された多くの作品が収蔵されており、七戸町は彼の芸術を次世代へと伝える拠点となっています。

ここがスゴイ!作品の世界観と特徴

鷹山宇一の作品世界をひと言で表すなら、「夢と幻想の絵画」です。戦前の版画家時代は都会的で尖った抽象表現に挑みましたが、戦後に油彩へ転向してからの作品には、一貫して詩情豊かな幻想性が漂います。最大の特徴は、前述した蝶と花のモチーフです。鷹山は40代頃から、現実離れした蒼い空間を背景に色とりどりの花々と蝶を描く作品群「遊蝶花」シリーズを展開しました。黒い闇を湛えた夜空や宇宙を思わせる背景に、舞い遊ぶ蝶と咲き誇る花──それはまるで夢の中の情景のように神秘的で、観る者を異世界へ誘います。

興味深いのは、同じ蝶を描いても棟方志功のそれが民俗的・宗教的象徴だったのに対し、鷹山の蝶は個人的な夢の象徴として描かれている点です。現実の風景描写にとらわれず、色彩も構図も極めて自由奔放です。緑や青の濃淡で広がる静寂な空間に、赤や黄の花弁と蝶が浮遊する光景は、観る者に独自の精神世界を感じさせます。

代表作と出会える場所

「遊蝶花」シリーズ(1960年代〜)

花・遊蝶
花・遊蝶

夜空のような濃紺の背景に、白やピンクのユリの花、その周りを舞う無数の蝶を描いた代表シリーズです。《遊蝶花》などが有名で、静けさと躍動感が同居する幻想的な世界に引き込まれます。

(所蔵:青森県立美術館七戸町立鷹山宇一記念美術館

《二科展初入選の木版画》(1930年)

20代前半の鷹山が手がけ、第17回二科展で入選し注目を浴びた木版画です。尖鋭的な構図とモノクロームの硬質な美しさは、後年の幻想画とは異なる魅力を放っています。

(所蔵:東京国立近代美術館など)

気になる価値は?市場での評価と買取のポイント

鷹山宇一の作品は、同時代の超有名画家と比べると一般的な知名度こそやや控えめかもしれません。しかし、美術市場に目を向ければ、熱心なコレクターに支えられた堅実な人気を保っています。特に彼の代名詞ともいえる「蝶と花」の油彩画は、幻想的な作風のファンから根強い需要があります。これらの作品はサイズや制作年代にもよりますが、オークションでは根強い人気を誇り、過去には大作が高額で落札された記録もあります。評価の高い作品はコレクターの間で大切に扱われています。

市場で高く評価されるポイントの一つは、作品の完成度と保存状態です。鷹山は作品ごとに画風の振れ幅がありますが、なかでも1960年代の「遊蝶花」シリーズは色彩・構図ともに完成度が高く人気です。これらの時期の油彩は、キャンバスサイズが大きく、蝶と花のモチーフがはっきり描かれているものほど高値になりやすい傾向があります。また、絵具のひび割れや退色が少なくオリジナルの色合いを保っている作品は評価が上がります。反対に、戦前の版画については市場に出回ること自体がまれであり、仮に真筆の木版画が見つかれば専門筋が高額で買い取る可能性があります。

買取のポイントとしては、まず作品の来歴が重要になります。鷹山宇一は地元青森の美術愛好家にも作品を提供していたため、ご家庭に代々伝わる鷹山の絵が眠っていることも考えられます。その場合、美術館の展覧会図録や画集に掲載された作品かどうかが査定額に影響することがあります。著名な展覧会に出品歴のある作品や、鷹山本人のサイン(署名)・年記がしっかり入った作品は信頼性が高く評価も上がります。

さらに、作品ジャンルによる違いも留意しましょう。油彩画は一点物ゆえに需要が高く、高価買取の対象です。一方、版画作品(鷹山は戦後もエッチング版画など手がけています)も、市場での流通量が少ないため希少価値があります。特に直筆サイン入りの少部数版画であれば買取価格が伸びる可能性があります。いずれにせよ、「これは売れないだろう」と自己判断せず、専門の査定士に鑑定を依頼することが肝心です。鷹山宇一は青森が誇る芸術家の一人。その作品には思わぬ高値が付く“隠れたお宝”が潜んでいるかもしれません。

奈良美智:世界を魅了する弘前生まれの現代アートの旗手

どんな人?経歴とプロフィール

奈良美智(なら よしとも、1959年- )は、青森県弘前市生まれの現代美術家です。昭和から平成、令和にかけて活躍し、新しい具象絵画の旗手として国際的に高い評価を得ています。弘前市で幼少期を過ごした奈良は、自然豊かな環境とともに漫画や音楽といったポップカルチャーに親しみ、多感な少年時代を送りました。愛知県立芸術大学で油絵を学んだ後、1980年代後半にはドイツに留学し、本場ヨーロッパの現代美術に触れます。その後1990年代に日本へ帰国すると、独自のスタイルで描いた作品が国内外で注目を集め、一躍スターアーティストの仲間入りを果たしました。

奈良美智といえば、やはり大きな瞳でこちらを睨むような少女や少年の絵が有名です。一見すると可愛らしい子どものキャラクター。しかしその目には反抗的な光が宿り、無垢な中にも棘や孤独を感じさせる――そんな独特の人物像を描く作風で知られます。このスタイルの絵画やドローイングを中心に、ブロンズ像やFRP製の立体、インスタレーションなど表現の幅も広げ、現代アートシーンで確固たる地位を築いてきました。現在ではニューヨーク近代美術館(MoMA)をはじめ世界各国の美術館に作品が収蔵されており、国際オークションでも常に高額で取引されるトップクラスの現代アーティストとなっています。

青森県との素敵な関係

奈良美智にとって青森・弘前は、生まれ故郷であると同時に創作原体験の地です。自身も「子どもの頃、田舎町(弘前)で一人絵を描いたり音楽を聴いたりしていた経験が、今の自分の核になっている」と語っています。確かに、彼の描く子どものイメージにはどこか郷愁や孤独感が漂いますが、それは幼少期の記憶と無縁ではないでしょう。弘前の自然や静かな環境の中で培われた感性が、奈良の作品に内在する寂しさや純粋さに通じているように思われます。

青森県は奈良美智の才能をいち早く誇りに思い、その芸術を地域に根付かせようとしてきました。2006年、青森県立美術館がオープンした際には、奈良の巨大な白い犬の彫刻《あおもり犬》がシンボルとして恒久設置され、大きな話題を呼びました。地面にうずくまるように佇む全長8.5メートルの白い犬は、美術館を訪れる誰もが目にするインパクト抜群の作品です。

また奈良は2000年代以降、弘前市を拠点に地元のクリエイターや仲間たちとともにユニークなプロジェクトも展開しました。代表的なのが「AtoZ展」(2006年)です。弘前の廃工場を舞台に、奈良とグラフィックデザイナーのグループが小屋やオブジェを無数に設置して「奈良美智の頭の中の街並み」を表現した大規模インスタレーションで、国内外から延べ5万人以上を集める盛況ぶりでした。当時まだ今ほど美術に馴染みのなかった地元の人々にも「現代アートって面白い!」と感じさせたこの展覧会は、青森の地域アート振興の先駆けとなりました。

こうした活動を経て、2020年に弘前れんが倉庫美術館(旧吉野町煉瓦倉庫)で開催された奈良美智の大規模個展は、まさに里帰りともいえるものでした。

ここがスゴイ!作品の世界観と特徴

奈良美智の作品世界は、一見するとポップで親しみやすいようでいて、実は奥深いメッセージ性を秘めています。その代表格である子どもの肖像画は、丸く大きな頭とつり上がった目、ぷっくりとした頬が特徴的。背景は単色でシンプルに抜かれ、キャラクターが強烈に浮かび上がります。この愛らしさと少し不穏な雰囲気の同居がユニークで、観る者に様々な感情を想起させます。「なんだか怒っているみたい」「寂しそうにも見える」——鑑賞者それぞれが違った物語を感じ取れるのは、奈良の作品がシンプルなようで複雑な内面を表現しているからでしょう。

実際、奈良美智は自分の作品について「かわいいイラストではない」と明言しています。イラストレーションが依頼に応じて描かれる商業的な絵とすれば、奈良の描く子どもたちは純粋に自分の内なる思いを表現した存在です。そこには、幼少期の孤独、反骨精神、愛情への渇望など、人間の内面にある複雑な感情が込められており、だからこそ見る人の心に強く訴えかけてくるのです。「表面だけ見て理解した気にならず、年月をかけてじっくり鑑賞してほしい作家」と評されるゆえんも、そこにあります。

奈良の作品にはもう一つ重要なモチーフがあります。それが犬です。白い子犬を描いた作品や犬の彫刻が度々登場します。前述した《あおもり犬》がその代表例で、無垢で従順だけれど、ときに孤独な魂を持つ犬のイメージは奈良作品のもう一つのアイコンとなっています。

代表作と出会える場所

《Knife Behind Back》などの少女像

ツンととがった目つきの女の子が包丁を隠し持っている絵画シリーズです。愛らしさと不穏さが同居し、奈良のダークで皮肉なユーモアが端的に表れた作品として世界的な人気を誇ります。

(所蔵:個人蔵、海外美術館、展示会など)

《あおもり犬》(2005年)

青森県立美術館に常設展示されている、全長8.5メートルの巨大な白い犬の彫刻です。地面に埋もれるように佇むその姿は、今や青森県のアートスポットを語る上で欠かせないシンボルとなっています。

(所蔵:青森県立美術館

気になる価値は?市場での評価と買取のポイント

奈良美智の作品は、近年の現代アートブームも相まって市場価値が急騰しています。国内はもちろん、海外オークションでも奈良の絵画やドローイングは高値更新を続け、代表作の大型絵画ともなれば落札額が数億円規模に達することさえあります。彼は今や草間彌生や村上隆らと並ぶ、日本が世界に誇る現代アーティストの一人であり、その知名度と人気が価格に直結しているのです。

一般的な買取市場においても、奈良美智の作品は非常に高く評価されます。たとえば版画(シルクスクリーンや木版など)やポスター作品であっても、限定部数の直筆サイン入りであれば数十万円するものもあります。実際、木版画の買取相場は数百万円から、高いものでは1,000万円するものもあり、版画としては破格の水準です。さらに原画(アクリルや油彩の一点もの)ともなれば、作品にもよりますが数百万円から数千万円という世界になります。オリジナルの一点もの作品は流通量が極めて限られるため希少価値が高く、高価買取に繋がりやすいのです。

特に女の子のキャラクターが描かれた作品や、白い犬のモチーフの作品は人気が高く、探し求めているコレクターも多いジャンルです。例えば少女像の代表的な版画《Sleepless Night》(眠れない夜)や《森ガール》、ドローイング作品などは中古市場でも高値安定傾向にあります。また、グッズ類ですら侮れません。奈良美智は大量のグッズ(フィギュア、ぬいぐるみ、スケートボード、CDジャケット等)を制作していますが、生産終了後にプレミアが付いている物も少なくありません。限定発売されたポスターや玩具が数万円~数十万円で取引されるケースもあり、ファンのコレクション熱がうかがえます。

買取のポイントとして重要なのは、やはり真贋と保存状態の確認です。奈良美智ほど人気になると、残念ながら贋作や無断複製品も出回りがちです。しかし、奈良の場合は版画にもエディション番号とサインが明確に入りますし、近年の作品なら購入時の証明書が付属していることもあります。査定の際はそれらをチェックして本物かどうかを慎重に見極めます。また直筆ドローイングなどは一点ものゆえ、入手経路の裏付け(どのギャラリーで購入したか等)があると信用度が増し、査定額もアップするでしょう。

さらに、奈良美智の作品はコンディションが重視されます。紙ものは日焼けやシミがないか、絵画なら表面のひっかき傷や汚れがないかなどです。幸い奈良の版画は比較的新しい時代のものが多く、適切に保管されていれば良好な状態のものが多いはずです。それでも額装の有無や保管環境によって差が出るので、査定前にホコリを軽く払う・額縁が壊れていれば外しておく等、できる範囲の準備をするとよいでしょう。

総じて、奈良美智の作品は「欲しい人が世界中にいる」ため、市場性は抜群です。もしご自宅に「これって奈良さんの絵かな?」と思う作品があれば、それは非常に価値ある資産かもしれません。専門家に鑑定を依頼し、本物であればぜひ適正な評価額を確認してみてください。思いがけない高額査定に驚くことも十分あり得ます。

▼写真を撮って送るだけ!最短60秒で完了▼

LINEであなたの絵画の価値を無料で調べてみる

まとめ:青森のアートが秘める可能性

「わだばゴッホになる」という若き日の情熱を胸に、青森から「世界のムナカタ」へと駆け上がった棟方志功。 幻想的な蝶と花の世界を描き、静謐な詩情で観る者を異世界へと誘う洋画家、鷹山宇一。 そして、弘前の記憶を原点に、無垢かつ反骨の精神で現代アートの最前線を走り続ける奈良美智。

今回ご紹介した3人の巨匠は、それぞれ異なるアプローチで青森県と深く結ばれ、この地の文化と美術史を豊かに彩ってきました。彼らの存在は、北の大地・青森が決してアートの辺境などではなく、独自の強烈なエネルギーを発信する「源泉」であることを物語っています。

そして、その物語は美術館の中だけで完結するものではありません。 彼らが活動した時代、多くの作品が地元の人々や支援者の手に渡り、愛されてきました。青森県内には、今もなお、こうした巨匠たちの作品や、まだ光の当たっていない郷土画家の傑作が、旧家の蔵や応接間で静かに眠っている可能性が大いにあるのです。

「これは誰の作品だろう?」「価値はあるのかな?」そんな疑問をお持ちの方は、下記のフォームから無料査定をお申し込みください。専門家が丁寧にお答えいたします。

絵画や骨董品、美術品、古美術を売るなら、
買取専門店「アート買取協会」にお任せください!

Avatar photo

アート買取協会 美術品情報監修チーム

創業25年以上、年間3万点の美術品・絵画・骨董品を扱う「アート買取協会」の査定員および専門スタッフによるチーム。
日々の査定業務で培った「目利き」の知見を活かし、作家や作品の解説から、最新の買取相場、美術品のお手入れ方法まで幅広く情報を発信。
初心者の方にも分かりやすく、正確な知識をお届けすることを目指しています。
古物商許可証:第541020001600号(愛知県公安委員会)

美術品買取コラム一覧をみる

美術品の売却が初めての方
「買取の流れ」をご紹介!
全国出張・宅配買取や無料査定も実施中!

買取の流れをみる

アート買取協会で
買取できる美術品

日本画、洋画、現代アートなどの絵画買取から掛軸、陶磁器などの骨董・古美術の買取まで幅広い美術品ジャンルを取り扱っております。
一覧にない美術品も取扱いがございますので、まずはお気軽にご相談ください。

絵画や骨董品、美術品、古美術を売るなら、
買取専門店「アート買取協会」にお任せください!