小野珀子の買取相場|釉裏金彩と金襴手の違いで価値はどう変わる?
- 小野珀子
- 有田焼
- 茶道具
- 釉裏金彩
- 金襴手
- 陶芸家
- 骨董品買取
目次
はじめに
実家の蔵や納戸を整理しているときに、金色の幾何学模様が施された美しい陶磁器を見つけたことはありませんか?もしその底面に「珀」という文字が記されていたなら、それは佐賀県を代表する陶芸家、小野珀子(おの はくこ)の作品かもしれません。
小野珀子は、有田焼の伝統を受け継ぎながら、「釉裏金彩(ゆうりきんさい)」という極めて高度な技法を確立した女性陶芸家です。彼女の作品は、金箔を使っているにもかかわらず、ギラギラとした派手さではなく、ガラスの中に光を閉じ込めたような潤いのある輝きを放つのが特徴です。その芸術性は高く評価され、外務省による買い上げや海外の美術館にも収蔵されています。
しかし、いざ売却を考えたとき、「金を使った焼き物は高いと聞くけれど、実際の相場はどれくらいなのか」「共箱(木箱)がなくても売れるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。実は、小野珀子の作品は技法の種類(釉裏金彩か金襴手か)によって、その評価額が大きく異なるのです。
本記事では、小野珀子の陶芸家としての生涯を振り返りつつ、作品の真の価値、そして少しでも高値で売却するためのポイントを、美術品買取の専門的視点から解説します。
小野珀子とは?

デザイナーからの転身と「出戻り」の決意
小野珀子(1925年 – 1996年)は、愛知県で生まれました。父は「琥山窯(こざんがま)」の創設者であり、名工として知られる小野琥山(おの こざん)です。幼少期から陶芸に親しむ環境にありましたが、彼女の人生は決して平坦なものではありませんでした。
1943年に会津若松高等女学校を卒業後、一度は結婚し家庭に入りますが、1960年に離婚。35歳で佐賀県嬉野の実家へ戻ることになります。この「出戻り」が、彼女の作家人生の大きな転機となりました。父・琥山の製陶所デザイン室に勤務し、陶磁器のデザインを本格的に学び直します。
当時、陶芸界は圧倒的な男性社会でした。その中で、一度は家庭に入った女性が30代半ばからキャリアを再スタートさせ、独自の世界を築き上げたという事実は、彼女の芯の強さと芸術への情熱を物語っています。この遅咲きのスタートこそが、既成概念にとらわれないモダンな作風を生み出す土壌となったのです。
運命を変えた「釉裏金彩」との出会い

小野珀子の代名詞となる「釉裏金彩(ゆうりきんさい)」との出会いは、1964年の現代国際陶芸展でした。そこで人間国宝・加藤土師萌(かとう はじめ)の作品を目にし、その美しさに衝撃を受けたといいます。
「釉裏金彩」とは
厚さの異なる金箔を磁器の素地に貼り付け、その上から透明な釉薬を掛けて高温で焼き上げる技法です。言葉にすれば簡単ですが、実際には極めて困難な技術です。金は融点が約1064度と低く、磁器を焼く高温(1200度以上)では溶けて流れてしまったり、釉薬の中で気泡ができたりしてしまいます。
加藤土師萌(かとう はじめ)ですら完成に長年を費やしたこの技法に、小野珀子は独学で挑みました。数え切れないほどの失敗を重ね、試行錯誤の末に、金箔が釉薬の中で美しく浮遊する独自の表現を確立。1970年の九州・山口陶磁展での第一席受賞を皮切りに、数々の賞を受賞し、その地位を不動のものとしました。

受賞歴と公的評価
小野珀子の功績は、単なる人気作家の枠を超え、公的にも高く評価されています。
- 1970年:九州・山口陶磁展 第一席
- 1971年:日本工芸会西部工芸展 朝日金賞
- 1981年:日本陶磁協会賞 受賞(女性陶芸家として2人目の快挙)
- 1992年:佐賀県重要無形文化財に認定
また、彼女の作品は東京国立近代美術館、呉市立美術館、さらにはニュージーランドやアルゼンチンの美術館にも買い上げられており、国際的な評価も確立しています。
▼写真を撮って送るだけ!最短60秒で完了▼
小野珀子の作品の魅力や特徴
「釉裏金彩」と「金襴手」の決定的な違い
小野珀子の作品を語る上で最も重要なのが、技法の違いです。市場における価値も、この技法の違いによって大きく左右されます。
1. 釉裏金彩(ゆうりきんさい)
小野珀子の最高峰とされる技法です。金箔の上にガラス質の釉薬が掛かっているため、表面はつるりとしています。最大の特徴は、金が釉薬の層を通してみずみずしく輝く「潤いのある美しさ」です。金が直接空気に触れないため、経年による変色や剥落がほとんどなく、半永久的な輝きを保ちます。制作難易度が高いため、市場価値は非常に高くなります。

2. 金襴手(きんらんで)
焼き上がった釉薬の上に、金彩で文様を描いて低温で焼き付ける技法です。金が表面に乗っているため、きらびやかで豪華な印象を与えますが、強く擦ると金が剥げてしまう恐れがあります。小野珀子の金襴手は非常に繊細で人気がありますが、釉裏金彩に比べると制作数は多く、価格帯も比較的手頃です。

独自の幾何学文様とモダンな感性
小野珀子のデザインは、伝統的な花鳥風月にとどまらず、幾何学的な文様を多用する点に特徴があります。
三角形や四角形、あるいは抽象的な曲線を組み合わせた金箔の配置は、父のデザイン室で培った経験が生かされており、現代の住空間にも馴染むモダンな雰囲気を漂わせています。また、金箔だけでなく、プラチナを用いた「釉裏白金彩」や、釉薬に淡い色を加えた作品など、色彩のバリエーションも魅力の一つです。

代表作品とその評価
- 釉裏金彩飾壺・花瓶:彼女の技術が最大限に発揮された大型作品。美術館クラスの評価を受けます。
- 茶道具(茶碗・水指):茶道の世界でも珍重されており、特に水指や格式高い茶碗は高値で取引されます。
- 酒器(ぐい呑):コレクターが多く、小品ながら彼女のエッセンスが凝縮されています。
小野珀子作品の買取相場・実績
※買取相場価格は当社のこれまでの買取実績、および、市場相場を加味したご参考額です。実際の査定価格は作品の状態、共箱の有無、制作年代等により変動いたします。
釉裏金彩花壷「煌」

釉裏金彩茶盌

釉裏金彩花壺「熱帯魚」

小野珀子の作品を高値で売却するポイント

1. 「共箱」の有無が査定を左右する
陶芸作品において、作家本人が署名・捺印した木箱(共箱)は、本物であることを証明する保証書の役割を果たします。特に小野珀子のような有名作家の場合、共箱の有無で査定額が数万円単位で変わることも珍しくありません。
箱の蓋の裏に書かれたタイトル(例:「釉裏金彩茶碗」など)と署名を確認し、必ず作品とセットで査定に出しましょう。もし箱が見当たらない場合でも、作品自体の価値は変わりませんので、諦めずに専門家に相談することをお勧めします。
2. 金彩の状態を保つ(洗い方に注意)
特に「金襴手」の作品をお持ちの場合、取り扱いには細心の注意が必要です。表面の金彩は摩擦に弱いため、ホコリを払う程度にとどめるか、ぬるま湯で優しく洗う程度にしてください。一方、「釉裏金彩」は金がガラス層の下にあるため耐久性は高いですが、やはり美術品として丁寧に扱うことが高額査定への第一歩です。
3. 技法の違いを見極められる専門業者へ
前述の通り、小野珀子の作品には価格差の大きい2つの技法が存在します。リサイクルショップなどの一般的な買取店では、この「釉裏金彩」の技術的難易度や希少性が正しく評価されず、「きれいな金色の焼き物」として一括りにされてしまうリスクがあります。
小野珀子の価値を正しく見極めるには、陶磁器の専門知識を持つ鑑定士がいる買取業者を選ぶことが不可欠です。
小野珀子についての補足情報
美術館で見られる小野珀子

小野珀子の作品は、以下の美術館などで鑑賞することができます。実物を見ることで、その輝きの違いを肌で感じることができるでしょう。
- 国立工芸館(石川県金沢市):代表作が収蔵されています。
- 佐賀県立九州陶磁文化館:地元佐賀県において、父・琥山氏との回顧展が開催されました。
- 呉市立美術館:1985年に作品が買い上げられています。
後継者と琥山窯の現在
小野珀子の技術と精神は、息子の小野次郎(おの じろう、故人)をはじめとする後進に受け継がれました。次郎氏もまた釉裏金彩の作家として活躍し、母とは異なる独自の金彩表現を追求しました。
また、生家である「琥山窯」は現在も佐賀県嬉野市で活動を続けており、伝統を守りながら新しい時代の焼き物を生み出し続けています。
偽物(贋作)について
小野珀子の作品、特に釉裏金彩は制作プロセスが極めて複雑で高度な技術を要するため、粗悪な贋作が作られることは比較的少ないと言われています。しかし、人気作家である以上、全くのリスクゼロではありません。底面の「珀」の銘や、共箱の筆跡などが真贋判断の材料となります。少しでも不安がある場合は、プロの査定を受けるのが確実です。
もしお手元に小野珀子の作品をお持ちでしたら、その真の価値を知るために、一度専門の鑑定士による査定を受けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
小野珀子は、女性陶芸家として多くの困難を乗り越え、「釉裏金彩」という至高の技法を極めた稀有な作家です。ガラスの中に永遠に閉じ込められた金の輝きは、色褪せることなく、今もなお多くのコレクターを魅了し続けています。
彼女の作品は、技法やサイズによって数千円から数十万円まで幅広い価格帯で取引されています。特に「釉裏金彩」の作品は、美術的価値も資産的価値も非常に高いものです。
遺品整理やコレクションの整理で小野珀子の作品が出てきた際は、決して自己判断で処分せず、その価値を正しく理解してくれる専門業者に相談することをお勧めします。
もしお手元に小野珀子の作品、あるいは「小野珀子かもしれない」と思われる作品をお持ちでしたら、その真の価値を知るために、ぜひ当社の専門査定をご利用ください。
当社では、専門の査定士が、お客様の大切な作品の価値を的確に評価いたします。銘のない作品や、ご家族などによって箱書きがされた「識箱」の作品であっても、豊富な知識とデータに基づき、査定させていただきます。
また、LINEからの査定依頼も受け付けています。(スマホで写真を撮って送るだけ!)詳しくは【LINE査定ページ】をご覧ください。
絵画や骨董品、美術品、古美術を売るなら、
買取専門店「アート買取協会」にお任せください!
-
すぐつながる、査定以外のご相談も
受付時間9:30-18:30 月~土(祝祭日を除く)発信する
- 24時間受付、手軽に買取相談買取査定する
- スマホでカンタン買取査定LINE査定も受付中