作家・作品紹介

写実絵画の革新者──諏訪敦の世界

写実絵画の革新者──諏訪敦の世界
NHK 日曜美術館より

生い立ちと画家としての歩み

1967年、北海道に生まれた諏訪敦は、武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業後、同大学大学院修士課程を修了。1994年には文化庁派遣芸術家在外研修員としてスペイン・マドリードに2年間滞在し、ヨーロッパの古典絵画技法や美術思想に触れました。この経験が、彼の写実表現に深みと奥行きをもたらします。

翌1995年、第5回バルセロ財団主催の国際絵画コンクールで大賞を受賞。本格的に画家としての道を歩み始め、以後、国内外で高く評価される存在となりました。


写実絵画の革新者──諏訪敦の世界

「視ること・描くこと」を問い続ける芸術家

諏訪敦は、緻密で再現性の高い写実的な画風で知られていますが、彼の関心は単なる再現にとどまりません。「視ること」「描くこと」の本質を問い直し、絵画における認識の拡張を追求し続けています。

制作は、対象への徹底した観察と綿密な取材に基づいて進められます。現地での観察や対話、文献調査などを通じて、対象の内面や歴史的背景に迫る手法は、ドキュメンタリー的とも言えます。1枚の絵に数年をかけることもあり、そこには視覚を超えた「不在」や「記憶」「時間」といった抽象的なテーマへの挑戦が見て取れます。

特に、舞踏家・大野一雄とその息子・慶人を描いたシリーズでは、「老い」「記憶」「身体」といった時間と共に変化する主題に真正面から向き合いました。大野一雄がアルツハイマーを患い、寝たきりとなった後も、その肉体に宿る「華」を描こうとした姿勢は、多くの人々に衝撃を与えました。

諏訪の絵画は、写実という枠組みを超え、「見ること」と「描くこと」の意味を根本から問い直す表現です。それは、現実と芸術の境界を揺さぶり、見る者の認識を深く揺さぶる力を持っています。


受賞歴とメディアでの紹介

1995年のバルセロ財団国際絵画コンクールでの大賞受賞以降、諏訪敦は国内外で高い評価を得ています。NHK『日曜美術館』や『ETV特集』では彼の制作過程や思想に迫る番組が放送され、2011年の『記憶に辿りつく絵画~亡き人を描く画家~』は、大きな反響を呼びました。


作品が鑑賞できる美術館

・ホキ美術館(千葉・千葉市)
写実絵画を専門とする美術館で、諏訪の作品が常設展示されています。精緻な描写と独自の視点を備えた作品に触れることができます。

・WHAT MUSEUM(東京・品川区)
2025年9月11日から2026年3月1日まで、個展「きみはうつくしい」が開催予定。建築とアートの交差点として注目を集める同館での展覧は、諏訪作品の新たな一面を見せてくれるでしょう。

諏訪敦は、写実絵画の枠を超えて、存在、時間、記憶といった根源的なテーマに挑み続けています。緻密な描写力と哲学的視点を併せ持つ作品は、多くの美術愛好家やコレクターに支持され、今後の展覧会や作品発表にも大きな期待が寄せられています。

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