作家・作品紹介

多くの人を虜にしてきたビスクドール テート・ジュモー

美しく洗練された衣装に身を包み、フランスらしい気品に満ちた西洋人形。
みなさんは“テート・ジュモー”をご存知ですか?
“テート・ジュモー”はピエール・ジュモーと、その息子エルミール・ジュモーという人物により1800年代にフランスで制作され、現在も多くの愛好家がいます。一時は途絶えてしまいましたが、アメリカの人形の制作や復興を行う「Doll Artisan Guild」により復活。
今回は現在も多くの人々を魅了し惹きつけてやまない“テート・ジュモー”を紹介したいと思います。

多くの人を虜にしてきたビスクドール テート・ジュモー

ビスクドール テート・ジュモーの始まり

“テート・ジュモー”はピエール・ジュモーと、共同設立者のルイ・デジレ・ベルトンという人物が1841年に"ベルトン&ジュモー・カンパニー"を設立したのが始まりです。1844年にジュモーとベルトンはパリ博覧会に人形を展示し、高い評価を受けました。二人は特に人形の衣装に力を注ぎ、これまで織物業界にいたジュモーの才能がここで遺憾なく発揮されました。共同設立者であったベルトンは1845年に会社を離れ、ピエールが独立しジュモー社を興します。その後1849年のパリ万博でジュモーの人形は銅メダルを獲得、1851年のロンドン万国博覧会では第1位のメダルを獲得しました。その後、息子エミールに引き継がれ、多くの作品を生み出しました。

ジュモー人形の特徴は、あどけない顔つきと最新ファッションを取り込んだ豪奢で繊細な衣装です。作られた年代によって特徴は異なりますが、瞼にまつげをつけるなど、細部にこだわった表情が魅力といえます。また、息子のエミール・ジュモーは、人形の見た目だけでなく構造にも注目しており、より壊れにくい人形を考案しました。


多くの人を虜にしてきたビスクドール テート・ジュモー

ビスクドールの歴史

ビスクドールとは二度焼きの陶器で作られた顔と、ガラスで作られた立体的な瞳の磁器製人形のことです。その名前はラテン語で二度焼きを意味する「ビスキュイ」が語源といわれています。ビスクドールは当初子供たちに向けて作られたものではなく、貴婦人へ流行のファッションを伝えるという役割を担った観賞用の人形でした。衣裳に重きを置いているため、人形自体の造形は彫刻作品ほど優れたものではありません。人形の造形が代わる転換期は18世紀後半から始まった産業革命によるものでした。印刷技術の進歩によって、流行のファッションを伝えるというファッションドールの役割は印刷紙面に取って代わられることとなり、人々は人形美を追求することとなります。いつしかファッションドールは大人のプロポーションから子どもの姿をしたべべドールへと移り変わり、ビスクドールの代名詞となっていくのですが、一説によるとパリ万国博覧会にて日本から出展された市松人形に影響を受けたともいわれています。

そうして6~7歳の幼児をモデルにした「べべドール」が作られると、子どもたちの間で大流行しました。それまでの人形は、呪術やお守りとして用いられることが多かったのですが、この時代から子どもたちの「玩具」という新たな役割を担うようになったのです。ちなみに今やビスクドールと言えば幼い少女の姿をしているべべドールを指しますが、大人の姿をした人形が全く作られなくなったのかというとそうではなく、レディドールと分類され現代まで残っています。


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ビスクドールの転換期

ビスクドールの人気とともに人形工房の乱立や、ドイツの工場による大量生産の安価な人形によって価格競争がおこり、ジュモー社も他社工房と合併したことでその名前を失われてしまいました。その後第一次世界大戦による材料の供給不足などによりビスクドールは作られなくなります。しかし現存するビスクドールはすべて19世紀のヨーロッパで作られたものかというとそうではありません。現存するビスクドールは主に二つに分類され、19世紀に作られたものをアンティークドール、その後ビスクドールを愛する人形作家(リプロダクター)の手で作られたものをリプロダクトドールと呼んでいます。

100年以上経っても、ジュモーのビスクドールはその人気が衰えることがなく、
世界中の人々に愛されています。是非その魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

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