作家・作品紹介

日本画界の異端児 村上裕二

若くして日本美術院展日本美術院賞大観賞を受賞以降同文部科学大臣賞や内閣総理大臣賞ほか、数々の賞を受賞。かの有名な現代アートの巨匠、村上隆の弟で、世界からも愛され続けている日本画家「村上裕二」をご紹介いたします。

日本画界の異端児 村上裕二

現代の新たな風を吹き込む

村上裕二は伝統的な日本画のモチーフである富士や仏像はもちろん、異国の街並みの風景、絵本の世界のような空想の生き物である天使やペガサス、小さな子供たちを題材にした優しい作品も描いています。
またひときわ目立つモチーフに、子供たちのヒーロー、ウルトラマンや仮面ライダーなどの特撮作品があげられます。この特撮作品シリーズは、初めて日本画に触れる方や若い方、また小さな子供たちが『これは何の技法だろう?』『これはどう描いているのかな?』と興味をもてるように描かれています。このモチーフを選ぶ過程では村上隆が日本のアニメーションやサブカルチャーからヒントをえたことも影響しているかもしれません。
伝統を受け継ぐイメージである『日本画』は、なじみがうすくなり難しくとらわれがちですが、とてもユニークな村上の作品達は日本画という枠組みを超えた新たな風を吹き込んでいます。


日本画界の異端児 村上裕二

怪獣王 ゴジラ への愛

ハリウッドでも読編がリメイクされるなど、世界中にファンがいるゴジラ。村上は小さい頃からゴジラへ憧れがあり、日本の象徴をミックスさせた日本画を描きたいと真剣に推し進めゴジラをテーマにした作品群を誕生させました。2022年には郵便局のネットショップ限定で日本画ゴジラの切手セットが販売され話題にもなりました。

村上にとってゴジラはかっこよくて恐怖の象徴であるとインタビューで話しています。
絵描きとして怪獣に対する恐怖や建物の破壊などを描くとドロドロになるので、誰も見たがらなくなってしまうかもしれないとも考えたそうですが、自身の純粋なゴジラへの愛でそのような裏の部分も日本画で表現できると考え描き始めたそうです。日本画による繊細なタッチで描かれる雄大な赤富士を背景に、赤々とした炎を吐くゴジラは日本画の枠にとらわれない、まさにエンターテインメントとも言える作品でしょう。


日本画界の異端児 村上裕二

進化する村上裕二

ウルトラマンやゴジラのシリーズは迫力があり少し怖さを感じるかも知れません。まるで今にも物語が動き出しそうな世界観に引き込まれるでしょう。
伝統的な日本画の技法の中に、日本独自の風土や自然と現代のエンターテインメントを描いた村上の作品は、その魅力を手軽に、身近に、感じる事ができると思います。
作品のテーマを変えながら、多岐にわたり作品を発表し挑戦し続ける村上裕二。
彼のあくなき挑戦に期待したいと思います。

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