作家・作品紹介

純白の陶芸家 ルーシー・リー

純白の陶芸家 ルーシー・リー

私たちは日々の生活の中で衣食住を必要とします。
洋服を着て生活をし、空腹を満たす為に食事をし、生活のために住居が必要です。今回は食事に必要な器について少し考えてみました。

普段、何気なく使っている器は、それぞれの好みによって選ばれると思います。無意識に選択する人もいれば、色彩豊かなもの、モノトーンなもの、淡い色合いのもの、斬新な形なものなど盛り付ける料理によって使うものを意識的に選択する方もいるでしょう。

例えば和食であれば日本で制作された器を使う事が多いと思います。それは視覚と味覚から和を感じることによってより食事を楽しむことが出来るように選んでいるのではないでしょうか。洋食であればモノトーンの食器を選ぶ事が多いと思います。それは食材の色彩を引き立てる要素があると思います。器によって視覚と味覚に与える印象が変化していることは間違いないでしょう。

更に私が毎日欠かさず飲むコーヒーの器に目をやるとカップやマグの選択で一味違う癒しのひと時を味わえます。有名なコーヒーカップといえばマイセンヘレンドなど華やかな色彩豊かな食器が多く上げられます。


純白の陶芸家 ルーシー・リー

素朴な作品の魅力

そんなある時、控えめで内向的な作品が雑誌の表紙を飾っているのを見かけました。「この素朴な作品がなぜ表紙なのだろう?」と疑問をもち、「この作品の魅力はどこだろう?」と考えたときに器を制作した作家について興味を持ちました。それが今回ご紹介する英国の代表的陶芸家ルーシー・リーとの出会いです。

ルーシーは1902年オーストリア ウィーンに生まれ、20歳の頃ウィーン工業美術学校へ入学後陶芸を学びました。在学中より注目のアーティストとなり、卒業後も万博で受賞するなど活躍しました。1938年にナチスの圧制の波に追われて生地のウィーンからイギリスに亡命。その際、スーツケースに作品を持ち運んだそうです。

作品の特徴は下地も釉薬も薄造りで非常に繊細な作りをしています。現代の陶芸家もそうですが、当時のほとんどの陶芸家は焼成の際に二度焼きを行っていました。しかし彼女の器は異なり、一度の焼成のみで完成させています。きっかけは納品に遅れていたルーシーは危険を覚悟で手順を省いたのが始まりでした。乾いてはいるものの、まだ素焼きを行っていない器に釉薬を塗り、一度だけ窯に入れました。その結果、釉薬が器の本体と融合し、独特の味わいが出たのです。


純白の陶芸家 ルーシー・リー

バーナード・リーチとの出会い

ルーシーの制作に影響を与えた人物がいます。日本にゆかりの深いバーナード・リーチです。ロンドンに移住し自宅兼工房を構えた頃、ルーシーはリーチに出会います。既にイギリスで活躍していたリーチは、ルーシーにイギリスの文化と東洋磁器や民芸から影響を受けた力強い作品に馴染ませようと試みました。しばらくはリーチの工房で学びましたが、彼女は自分らしい作品を作りたいと改めて思い工房を去ります。残念ながら当時リーチはルーシーの作品に興味を持たなかったと言われています。


純白の陶芸家 ルーシー・リー

彼女の作品を見るとわかりますが、控えめで繊細の中に躍動感があり、素朴な作品で周りを引き立てる食器本来の姿があります。基本に忠実なルーシーはイギリスで流行していたリーチの作品のような力強さや斬新な作風は好みませんでした。ただリーチの教えが全く役に立たなかったわけではなく、陶器では大きく堂々とした皿を製作し、磁器では花器やボウルを作りました。その作品を見て、次第にリーチも彼女の才能を認めていきました。そして新しい陶芸としてたたえ、ルーシーの作品を世に知らしめるためにあらゆる手段を尽くしてくれました。リーチが説いた美学からは離れていましたが、だんだん自信がつき、その結果ロンドンの人々に認められ、万人に認められたのです。

リーチは展覧会のカタログで、「いつの時代の陶芸家のどんな直接的な影響も受けず、その自由こそ彼女の作品の本質となっている」と語りました。彼女の作品を改めて見ると、料理を盛る器でありながら、料理の主役になってしまうほどの存在感を持ち、今日の陶芸家の中で最も冒険的で革新的な作家だと思います。
来年で没後30年を迎えますが、現在でも若い芸術家に影響力を与えています。

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