作家・作品紹介

独自の技法で名景を描いた画家 鎮西直秀

今回は油彩画でありながら日本画の技法を駆使した独自の画風で、朝焼けと夕陽を描き続ける洋画家「鎮西直秀」をご紹介します。
鎮西直秀(ちんぜいなおひで)は1953年に高知県佐川町で生まれ、東京芸術大学絵画科に入学、洋画家・彼末宏に学びました。パリ・ロンドン・エジプト・スペイン・中国・イタリアへと数々の世界に渡り作品を描きあげました。
主なモチーフとして、沖縄県で美しい夕日に魅せられたのをきっかけに朝焼けや夕焼けを描かれています。代表作といえば、松島、十和田、摩周湖など、だれもが知る名所が描かれている作品です。国外の風景も多く、風光明媚な場所の夜明け、朝夕を好んで選び描かれています。
風景をモチーフとされる事が多いですが、鎭西自身は風景画家といわれるのをあまり好まず、映像に近い画家であると考えているそうです。写真の機能を活用しながらも決してよりかからず、自然の風物が持つ生命の光の瞬間を意識し、また導き出せるよう光彩を美しく描かれています。流れるような時の流れの光を捉えたように感じます。

独自の技法で名景を描いた画家 鎮西直秀

日本画の技法を取り入れた油彩表現

鎭西の作品は写真のような細密な描き方ではなく、むしろ日本の浮世絵のような、あるいはレイヤーを重ねていくような、日本画的な平塗りの効果を出す描き方で描かれています。
構図にも、西洋の古典技法による遠近法ではなく、日本古来の掛軸などで使用されていた遠近法を駆使して描いています。掛軸で描かれる日本古来の遠近法とは、下から上に行くにつれて遠い場所を描く手法です。海の絵であれば、空は平面的にグラデーションがかかり広がりがあるように描かれ、海の流水は立体的に厚く油絵の具が塗られ遠近感を出すなど、空のグラデーションを重視して作品を構成されています。
高校生の時にはデザイナーを目指し、レタリングの通信講座を受けたこともあるそうです。モチーフを簡略化させすっきりとさせる構図はその影響もあるのかもしれません。
そして絵の特徴は何と謂っても独自の技法による雲の描き方に有ります。それは日本画の溜込(たらしこみ)技法の応用とも謂えるものです。
鎮西は日本古来の技法をもとに独自の表現様式を開拓した作家としても有名です。

人々の心に残る名所を届ける

一枚の繪に所属し、1978年沖縄平和祈念堂に守禮の月に100号を寄贈。1981年現代洋画精鋭選抜展記念大展特別奨励賞受賞と他にも様々な賞をとられています。
人々の心に残る名所の美しい瞬間を描いてきた鎮西は、「名所には時代を超えて名所でありつづけるだけのすばらしい、完全なフォルムがあり、これをつかまえて描かないことには自分の絵にならない。名所を知る人びとそれぞれのイメージをこわしてはいけない」と語っているそうです。
千年に一度と謂われる東日本大震災に遭遇してから暫くは、被災された方々への癒しと安寧、そして生きる力を漲らせ希望へと繋がっていくと考え、今描くべきは朝夕の光彩ではなく静かな霊力を持つ満月だと感じ、精魂込めて東北の名所を描かれているそうです。名所は人々の心に通じるものであると考え、大切にされているのを感じます。
そして年齢を重ねる毎に日本の風景、富士や松島を始めとした日本三景が重要なテーマになっていきます。近年では、独自のミクスドメディアとして、油絵による色彩を用いない水墨的表現にも取り組んでいるそうです。

独自の技法で各所の美しい景色を描いた画家、鎮西直秀の作品は眺めるほど不思議と心が落ち着きます。富士なども描かれており、想い出のある名所やいつか見た景色が描かれているかもしれません。是非この機会に鎮西直秀の作品に注目してみてください。

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