作家・作品紹介

呉昌碩 詩・書・画・篆刻に精通した「四絶」

皆様は呉昌碩という作家をご存知でしょうか。優れた美見識と多彩な技法で多くのファンを魅了し今もなお評価の高い画家です。
弊社でも過去何度も優品をお取り扱いさせて頂いております。

色彩豊な花鳥図や讃、取分け篆刻の研究は第一人者と言われ、彼自身が手掛ける篆刻にはかの犬養毅氏や富岡鉄斎など多くの高名な方からの注文も有ったと言われています。

今回はそんな呉昌碩について書いていきたいと思います。

呉昌碩 詩・書・画・篆刻に精通した「四絶」

清代最後の文人 呉昌碩

昌碩は中国の清朝末期から近代にかけて活躍しました。
1844年に湖南省安吉に生まれました。画家として活動する当時の中国は、まだ革命や戦争の真っ只中で、彼の書画は思う様に売れず、生活も決して楽では有りませんでした。古びた木造の家の一階は膨大な書物に溢れかえり、本人は二階に所狭しと住んでいました。

彼の評価が高まり始めたのは50歳位からで上海の富裕層を中心に人気が高まりました。日本では友永傳次郎という書画骨董に大変目利きであった人物が、当時の日本の富豪達にお値打ちな作品だと言って紹介し、たちまち日本でも売れに売れ大流行したとされています。

因みに昌碩のこんなエピソードをご存知でしょうか。


呉昌碩の贋作

彼が亡くなってから暫くして大規模な遺作展が開催されました。そこで展示された昌碩の作品のほとんどが日本人コレクターからの貸出品だったそうです。
1昌碩の高弟で有る某有名画家がこの展示会を見に行ったそうです。その中で彼は「あの作品は自分が倣作した物、この作品も昌碩先生に言われ書いた物、その後に先生が署名して印を押した作品」など衝撃な発言をしました。

当時の昌碩は日本人コレクターを始め多くの注文を受けていたそうです。その中には紅梅図に讃をこう入れて欲しい、とか構図をこう描いてほしいなど、作家の意向など関係なく依頼が大量に来たそうです。

昌碩はこの事態を憂い、作法や構図などは自身が思うがまま描けなくてはならず、と言って何百枚も作業的に描くことも嫌いました。
そこで信頼する数人の弟子達に自分の絵をそのまま描かせ後に落款を捺す、という作品が生まれました。ですので彼の作品は絵と讃が必ずしも本人の作品では無い物が存在しているそうです。

しかし実はこういう作品は昌碩だけでなく、昔から人気画家には珍しく無い事では有ります。作家にも色々と事情があった様ですね。

最後にこんなお話もご紹介させて頂きます。

沈石友の死、激動の呉昌碩

昌碩には沈石友という富豪の友人がいました。
石友は優れた美術品を所有しており、取分け碩は特に優れたコレクションを誇っておりました。
その中で、最も優れた碩160点を選んで、友人で有る昌碩に一点ずつ銘を付け篆刻を施した碩達が「沈氏研林」という全4冊の本になっており、日本でも昭和56年に刊行されております。

それ程有名な碩達も沈氏の死後に激動に見舞われます。というのは沈氏が1917年に死没後、阿片中毒だった沈氏の家族達が私財を散財してしまい、とうとうお金が底をつき始めます。

そこで、この碩160点を全て売却する事になりました。買い手はすぐに決まりました。その人物はゴム会社を経営している日本人で文人画を趣とし、碩にも大変詳しい方でした。
取引は上海で現金で取引となったのですが、取引直前にこの話を聞いた一部の中国人達から「あの碩が日本に渡ってしまうのは良くない。中国に残しておくべだ。取引を辞めるべきだ」と騒ぎ出したので取引が中止となってしまいました。

しかし丁度その頃に、京都の画家橋本関雪がフランスに行く途中に、たまたま上海に立ち寄っており、事情を聞き友人である呉昌碩の為にと当初の金額よりはるか高額で160点全部の碩を購入しました。
騒いだ中国人達も当初の金額よりも高く売れたので結局納得し、これらの碩は全て日本に運ばれました。

しかしこれらの碩も関雪の死後は散逸してしまい、未だに碩全ての所在は不明となっておりますが、近年この蔵品の一つと思われる碩がオークションに出品され数千万の落札となったそうです。
一説によると、散逸された碩はその後、日本のデパートや骨董店で売られていたという話しもございます。

このコラムを読んで頂いてる方でもしかしたら、、と思う品がございましたら碩は勿論昌碩先生を始めどんな作品でもお宝になる可能性を秘めているかも知れません。
是非お気軽にお問い合わせ下さい。

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