作家・作品紹介

鈴木政輝 海を渡る帆船を描いた画家

その美しい姿から、「太平洋の白鳥」や「海の貴婦人」などと呼ばれていた、帆船「日本丸」。航海練習船としての役割を終えたのちは国の重要文化財に指定され、現在は横浜市・みなとみらい地区の展示ドックにて、その姿を眺めることができます。
今回は海を渡る帆船を描いた画家、鈴木政輝をご紹介します。

海を渡る帆船を描いた画家

専門的な目線で船を描き上げる

1924年長崎県島原に生まれた鈴木政輝は、1938年14歳の時に上京し、洋画家・島野重之に師事。第二次世界大戦後は海外に渡航し、本場の絵や風景から美術的な技術を、また同じくして海洋学や帆船の構造についても学びます。海洋学を学んだ経験から、専門的な目線で船の細かい表現までを妥協無く描き上げました。海外からの帰国後は、海洋関係のイベントに招かれる機会も多く、海洋関係の博物館や運輸省大臣室にも作品が収蔵されています。


海を渡る帆船を描いた画家

日本丸と海王丸

鈴木政輝といえば、海上を雄々しく進んでいく帆船をモチーフにした作品群でしょう。
大海原に白い帆を張って、一隻の船が堂々たる姿で波をかき分けていく様は、鈴木の作品の中でも人気の高い図柄です。作中に描かれている帆船の代表的なものといえば、日本丸と海王丸。この2隻は商船学校の練習船として、20世紀に活躍していた船です。姉妹船として竣工し、80年代に2代目が竣工されるまで60年近くにわたり世界の海を航海し、多くの船員を生みだしました。


海を渡る帆船を描いた画家

画力で魅せる実力派

鈴木政輝は知る人ぞ知る作家ではありますが、モチーフや画力が評価される実力派作家です。主にバルビゾン派絵画を学んでいたため、船以外では自然主義的な風景画や、素朴な農民画を写実的に描いています。彼の描いた風景画は、19世紀のコローやコンスタブルの作品を見ているかのようです。
得意なモチーフには帆走中の船の印象が強いですが、帆を下して夕景に佇む船を描いた作品も存在します。夕日に照らされたオレンジ色をバックにたたずむ帆船や小型船は、青空のもとを疾走する姿とは対照的に、温かみを感じます。オーソドックスな花瓶に生けられた花など、静寂を感じられる静物画も、写実表現が際立っており素晴らしいです。

現在、初代海王丸は富山県射水市の海王丸パークに、初代日本丸は横浜市の横浜みなと博物館に保存・公開展示されています。横浜みなと博物館には、同じく船に魅せられた作家、柳原良平のミュージアムもあります。鈴木政輝の作品はなかなか目にする機会がありませんが、彼が愛した船を見に横浜や富山へ出かけてみてはいかがでしょうか。

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