作家・作品紹介

情感溢れる、日本の美しい風景を描く画家 澁澤卿

今回は自然豊かな日本の風景を、細緻なタッチで描いた日本画家 澁澤卿󠄁(しぶさわけい)をご紹介します。澁澤󠄁は1949年に群馬県で生まれ、東京藝術大学に入学すると洋画家・大藪雅孝のもとで、後に洋画家として大成した夭折の画家、有元利夫らとともに美術の基礎を学びました。1974年に東京藝術大学美術学部工学科デザイン専攻を卒業後、日本橋高島屋宣伝部にデザイナーとして勤務し、同年、銀座画廊にて初の個展を開催します。当時の彼の作風は、現在の作品のイメージとは異なり、人物をテーマとしたやや抽象的なものでした。
大学卒業から3年後の1977年には、制作をしばらく中断し、日蓮宗の僧侶として修業に専念しますが、この経験を通じて絵画と宗教心との結びつきを強く意識するようになっていきます。

情感溢れる、日本の美しい風景を描く画家 澁澤卿

仏の道から得たもの

僧侶として修業に励んでいた当時は、跪いて自分を拝む信者たちを見て、「もっと宗教を勉強しなければならない」と心を動かされたこともあったそうで、心の奥底から感動できるものを生み出したいという強い思いから、作風が徐々に具象へと変わっていったといいます。そうして生み出された作品はどれも重厚さと穏やかさを併せ持ち、見る人に安らぎを与え、祈りや心の救いなど、忘れ去られてしまった芸術の原点とも言える部分を、再び思い起させてくれます。


情感溢れる、日本の美しい風景を描く画家 澁澤卿

繊細な筆致に顕れた信条

澁澤作品の持ち味といえば、何といってもその緻密さにあるのではないでしょうか。
私自身も、実際に日本画や油彩画の制作をした経験がありますが、作品のメインとしたいモチーフを目立たせるために、周囲のものを省略したり、曖昧に描いたりして意図的にメインへと視線を誘導する手法は絵画において、とくに日本画では広く一般的に使われている手法だと感じます。
しかし、彼の作品からはそのようなギミックを感じないのです。
工程が多く、やり直しもきかない日本画において、細部まで力を抜かずに作品を仕上げるためには画力のみならず、相当な忍耐力、精神力を要することでしょう。また、澁澤は過去に、美術雑誌のインタビューにて「安易に省略せず、構図を工夫することによって、見る側を引き寄せる。写真にはない絵画の醍醐味や面白さはそこにあるんですよね。」(澁澤卿󠄁公式HPより)とも語っており、作品に対して非常に真摯でひたむきな思想を持っていたことがうかがえます。精察を惜しまず、根気強く描かれた作品には、僧侶として潜心に仏に仕えた経験が如実に顕れているのではないかと思います。

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