作家・作品紹介

シュルレアリスムの先駆者 古賀春江

古賀春江 埋葬

短い生涯に咲いた革新の花

古賀春江(1895-1933)は、大正から昭和初期にかけて活躍した日本の洋画家です。わずか39歳の短い生涯でしたが、日本のシュルレアリスム絵画の先駆者として美術史に大きな足跡を残しました。本名は亀雄(よしお)、後に僧籍に入り良昌(りょうしょう)と改名し、「春江」は通称として用いられました。

寺の子から反逆の画家へ

福岡県久留米市の善福寺の住職の長男として生まれた古賀は、幼い頃から病弱で内向的な少年でした。17歳で中学を退学し、両親の反対を押し切って上京。太平洋画会研究所を経て、日本水彩画会研究所で石井柏亭に師事しました。波乱に満ちた人生を送った古賀さんは、友人の自殺をきっかけに精神的に不安定になり、一度は阿蘇山で投身自殺を図ろうとしたこともあります。岡好江との結婚後、1919年の二科展に「鳥小屋」が初入選。1922年には妻の死産体験から着想を得た「埋葬」で二科賞を受賞しました。


古賀春江 サアカスの景

独自のコラージュ技法

古賀春江の作品は短期間で驚くほど多様な変化を見せます。初期は竹久夢二に憧れ、やがてセザンヌやクレーの影響を受け、1929年に「海」と「鳥籠」でシュルレアリスムへと移行しました。彼の作品の最大の特徴は、雑誌から切り取った写真や図版を組み合わせ、それを基に絵画を制作するコラージュ技法です。飛行船や高層ビル、機械など近代的モチーフを取り入れた構成的な画面は、ヨーロッパのシュルレアリスムとは異なる独自の世界観を示しています。「海」の画面に見える飛行船や鉄塔、潜水艦は、「科学画報」という雑誌からの切り抜きをもとに描かれたものなのです

悲劇的な最期と遺産

1929年頃から梅毒に侵された古賀さんは、次第に手の震えが激しくなり行動も奇矯になっていきましたが、最後まで創作への情熱は衰えませんでした。絶筆となった「サアカスの景」は、サインすら自分で書けない状態で完成させた傑作です。友人の川端康成の説得で入院しますが、1933年、39歳という若さでこの世を去りました。理知的構成と詩情、現代性と叙情性が融合した古賀春江の作品は、「海」「鳥籠」「窓外の化粧」「サアカスの景」など、時代を超えて私たちを魅了し続けています。短い生涯に咲いた彼の芸術の花は、日本の近代美術史における貴重な遺産となっているのです。東京国立近代美術館や神奈川県立近代美術館などで彼の作品に出会うとき、その鮮烈な想像力と不思議な詩情に、きっとあなたも心を奪われることでしょう。

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